「わしが相手をしてやろう」
薄く笑みを浮かべて対戦相手をまっすぐ見つめるギリシャ代表主将、ゼウス。
オ オーラの塊や・・・・・・
平等院さんやボルグプロとも違う・・・
全て・・・見透かされとる・・・
そのゼウスの溢れ出る自身とオーラ。
対峙した瞬間にすべてを悟った。
「この男には勝てない・・・」
試合を始める前から汗が、震えが、涙すら・・
唇を噛みしめても止まらない・・・
だ 駄目や・・・
今までのテニスじゃ世界では・・・
「お〜い☆ 蔵ノ介(ノスケ)!!」
呆然にも近い中で一時的にでも掻き消える志向。
白石へ歩み寄る種ケ島
「じゃんけんポン☆」
じゃんけんに負ける白石、まだ何が起こっているのかわかっていない。
「あっちむいてホイ☆」
誘導する種ケ島。あっさりと下を向けさせる・・
「俺の勝ち☆先にやらせてもらうわ」
どうやらグループリーグ中は登録メンバー7人の中ならば、試合直前の交代もOKらしい。
「ワシの相手を自ら買って出るとは勇敢な男じゃ」
「おーきに☆」
ホンマに高1かい 半端ないオーラやん
こりゃ蔵ノ介(ノスケ)が圧倒されるのも無理あらへんわぁ
ゼウスから始まるサーブ。
鋭いサーブが入るも返球する種ケ島。
動きを見透かすかのようにすでにネットに詰めて攻めるゼウス。
「已滅無」
「ほう器用な男じゃ」
「おーきに☆ どんどん行きましょか」
「種ケ島の攻め、圧倒的に攻撃を続ける種ケ島・・・」
しかし・・・
「ねぇ・・・おかしくない?
あんなに種ケ島先輩が優勢なのに
なんでスコアは負けそうなの?」
そうスコアは
ゼウス 5-0 種ケ島
ゼウス「ふふふ」
控室でも驚きの声が漏れる・・
「試合の全てを支配(コントロール)?」
そう、相手を弱点を見抜き、試合を演出すらし、相手を支配する跡部が驚く。
平等院「キサマらの仲間に手塚と言う奴がいたろ?
奴が手塚ゾーンとやらでボールの回転を自在にコントロールしていたように
あのゼウスとかいう男 その試合の展開や打ち合いのペースまで自在に支配し
一見攻められているように見えて点は全て取っている」
「参ったね☆」
全てはゼウスの掌の上
まるで、平等院VS徳川の試合の時のように種ケ島の幻の情景が映る・・。
熱い真夏の砂漠をひたすら歩く種ケ島。
遠くにかすかに見える水場というオアシス。
流れる川、掬うように手を伸ばすとベンチのペットボトルの水が倒れて零れ落ちる・・
掌のペットボトルのふたを握りしめる・・・
我に返り驚く種ケ島
全て支配か・・・やれるもんならやってみ!!
コートチェンジ・・・
目を閉じてコートに胡坐を掻いて目を閉じる種ケ島。
ヘラクレス「最大限の努力ぞな」
バルカン「追い込まれし者の模範とは 心を無にしたフリなど奇怪な仮現行動にて
その現状を打破せしめんとする美しく儚き浄化」
ヘルメス「が しかし
全ての心を無にする事がどうして出来ましょうぞ ですよね・・・ゼウス様」
「実に愉快じゃ」
返球する一瞬。
その一瞬に打ち込む方向を決めるをショットを心がける。
「・・・ほう 心を無にしたか」
「ちゃい☆」
無心、故、溢れ出るアイデア。
こやつの行動・・・読めぬ!?
5-2
5-3
鬼「打つ瞬間に閃きでコースを変えたとて
そんな単純なやり方でギリシャの大将が惑わされるハズはねぇぞ!!?
いったい・・・何が!?」
理屈では語ったもののその答えは平等院にも解らないままだった。
「「まさに・・・閃きテニスや」
4-4 日本
5-5 日本
6-5 日本
そしてついに・・
ゲームセットウォンバイ日本 7-5
「見事であった」
握りしめたままにペットボトルのキャップ。
それによって握りと、ボールの放つ方向が、本人すらわからない、
無に似た軌道を描き、ゼウスからポイントを奪い続けた。
「よくワシを欺いた・・褒めてつかわす」
「これはこれはゼウス様☆ ありがたき幸せ」
「ただし二度目はないぞ」
「でしょーね☆」
間近で試合を見続けた白石・・・
基本を極め、相手を見極め、相手の返せない返球をする。
ポイントを重ね、チームに1勝を刻む・・
それが当たり前だと、それが部長としてのテニスだと信じていた。
今のように、ペットボトルのキャップ一つで見事に戦況をひっくり返した種ケ島の姿・・・
部長として優等生なテニスばかりしとったかもしれへんなぁ・・・・・・俺
教科書通りに行かへん事ばかりや
俺の目指すテニスがやっと見つけられた気がする
試合を終えて戻ってくる種ケ島に微笑み一つ、白石の肩をポンと叩く。
「蔵ノ介(ノスケ)・・・型にはまんなよ」
「はい!」
日本、3連勝!