U-17W杯、決勝戦・・・


握手を交わす両監督・・・


「久し振りだな サムライ南次郎」

「いいチームを作ったじゃね〜か 父っつあん」


「世界一を狙ってる様だが・・・
日本代表のガキ共は一筋縄じゃいかんぞ」


「ああ ずっと見てたぜ・・・」


コーチのベンチに座るリョーマ・・・


「父親(おやじ)と知り合い?」


一瞬の間で三船が答える・・


「・・・腐れ縁じゃ」




S3の先陣・・・


客席の氷帝メンバーから響く氷帝コール・・・


一度見慣れた彼らの姿に視線を送る跡部・・・


静かにコートに入っていく・・



★・・・・・★・・・・★

入江に勝ち切れず、決勝の舞台に立つ・・・


葛藤は・・・あるのだ・・・



舞台に向かう前に、日本の主将に向けられた言葉。

平等院「悔しいか跡部?
己へのその怒りと屈辱感を消し去りてえなら
この試合・・・
テメェで落とし前つけるしか無えぞ


そう   命がけでな」



一度、自分の敗北で日本代表を終わらせた過去をバネにここまで日本代表を率い、
まさに命懸けでボルグと戦い日本代表を決勝戦へ押し上げた姿をみてきた・・

★・・・・・★・・・・★



(ああ・・・そのつもりだ!!)


徳川「乗り越えたようですね?」


鬼「まだ・・・地獄の入口に立っただけだぜ」





第1試合 S3


ロミオ・フェルナンデス VS 跡部景吾



「約束通り来てやったぞ ケイゴ・アトベ!僕の名は・・・・・」



「ロミオ・フェルナンデス だろ?」

「ああ・・・ロミフェルでいいよ」



「坊っちゃんの事色々調べさせて貰ったよ


跡部景吾(15)身長178cm・体重63kg
オールラウンダーの右利き 
学校では200人以上の部員を纏め
代表では中学生リーダー・・・」



そう、
これまで読者が、
氷帝のメンバーが、

日本代表のメンバーたちが一目置いてきた存在、

だが、ロミフェルは・・


「何だか面倒くない?
もっと自由に生きろよ」



その言葉に跡部の返答はない。
それぞれのコートに入り、跡部のサーブから試合は始まる。


構え、小さく息を吐き・・・トスを上げる・・


「ガラスの雨に気を付けな」


全てを掛けて、先陣を切る・・


『氷の帝王』・・・


しかし、初見、たった一球で、涼しい顔で返球する


アウト  15-0・・・

アウトでありファーストポイントを取った・・・が。


「危険な打球打つなぁケイゴ坊っちゃんは
でも衝撃波の気の流れさえ掴めば簡単に返せそうだ・・・


今のもう1回打ってこいよ!」



2球目・・・
タンホイザーサーブ・・・


即座に切り替えられる。

しかしロミオ・・フロントフットホップを駆使、返球する。
何度も跡部を見て来た日吉が返球するため選んだステップ。



ロブが上がる・・・

(やるじゃねーの 既に攻略法は調査済みって訳かよ


ならばじっくり破滅へと導いてやるぜ)




しかし・・


「これが『破滅への輪舞曲』かい!!」



15-15!!


「随分俺様に詳しいじゃねーの?」

「悪いね・・・ボクは気になりだすととことん突き詰めたくてさ」



ゲーム3-3と平行線だが・・・


「どうしたケイゴ

『失意への遁走曲』は?

『慟哭への舞曲』は?


攻めなきゃ勝てないぜ!!



それとも
得意の持久戦でもするつもりかい?


跡部を調べ、相対し、改めて確信する・・

「・・・・・・・・・やっぱりな 
お前の持久力の秘密は
疲労リカバリーメソッドに用いられる・・・
『IAP呼吸法』によるものだね

跡部の反応は鈍い・・


おや 自分じゃ気付いてなかった?
恐らく天性によって身についていたか・・・いや、環境がそうさせたのかもな」



忍足「なんや本人以上に跡部を把握してるわ・・・」



「でも持久戦はやめとけ――
長年の人体の研究とヨガの体力回復を極めたボクは無限に体力をリセット出来る!!」





ビスマルク「やはり来たな・・・『上級心理術者(メンタリスタ)』ロミフェル」
ジークフリート「今年のjrヨーロッパ選手権16歳以下の部で相手の1Pも与えず完全優勝しちまった
同世代じゃ誰も戦いたがりませんよ!」




ダンクマール「予選リーグとエキシビジョンでも対戦国の高校生相手にベーグルだったとか」



ベルティ「クニミツと並んで今大会No.1中学生の呼び声も高いですね」



Q.P「フェルナンデスは人の心理を巧みに操り幼少期からテニスで大人達を圧倒してたらしいね」




ボルグ「あの日本人の中学生 太刀打ち出来ると思うか・・・クニミツ




静かにコートから目を離さない手塚・・



セット中、独自のストレッチを行い、消費した体力を戻すロミオ。



メダノレ「アイツに持久戦は無意味って事だ」


リョーガ「・・・最悪な対戦相手(マッチアップ)じゃん」



遠野「入江に1ゲームすら取れなかった野郎を使うからだ!!」


種ヶ島「チームの志気が下がる発言はナシや!今は彼を信じてやらな」





加治「みんな全然わかってないなぁ」


種ヶ島「あのオーダー決定戦 自分審判やったな風多・・・
そしてコートにおったんはメガネ忍足のみ・・・
あの持久戦で一体何があったんや?」



☆・・・・★・・・・・☆


入江と、跡部のS3の決定戦・・


5-0の土壇場でも粘り続ける跡部・・・


「いつまで粘る気だい?」


(5-0の土壇場でもまだ進化を加速させてる ホントまいっちゃうよ・・・)


(キミをレベルアップさせ共にダブルスを組めば
大会中に『能力共鳴』をも実現可能・・・そう思っていたよ
でもキミを深く知れば知る程シングルス選手だった
だから僕は・・・)


「君の思惑はお見通しって言ったよね もう終わらせるよ」



「終わらせねぇ
未来永劫な!!」



言い放つ跡部、その瞬間入江は笑い続けた・・・


入江が辿り着いた境地・・・

演技で自分の脳をもダマし、
人工的に『天衣無縫』を作り出す・・・




「だから僕は全力でキミを倒す 日本代表の為にね」

みずから作り出した天衣無縫は・・・

3本連続で跡部からポイントを取り続ける。


(今のままのキミを決勝の舞台に立たせる訳には行かないよ)


打ち合いの中、跡部に問いかける・・

『素じゃ天衣無縫には勝てない』
以前キミはそう言っていたけど今もそうなの?






(素で天衣無縫とやり合った奴がいた
不可能なんてモンは心の弱い奴が作った幻想(ガラクタ)にすぎねぇ!!)



決意を新たに、入江からのショットを切り返す・・・



(やっぱり・・・キミの進化は止まらないよね)

「エウハリストー・ボリ 入江先輩」



★・・・・・☆・・・・・★





(コイツまさか・・・ボクの目現体力リセットを知ってなお持久戦を挑む気か!?)


「ならばその精神力・・・バイバイ」

一つ、指を鳴らすロミオ・・・


すると驚きの表情のまま立ち尽くす跡部・・


平等院「どうした・・・跡部の動きがおかしい?」


メダノレ(また始まった様だな)


『具現化(マテリアリサール)』


フリオ「ロミフェル曰く 心の奥底に潜む深層心理の畏怖の念を具現化させ
その相手が次々と襲い掛かるってNOラブ&ピースだな」



マルス「ちょっと可哀想ね・・・」


セダ「へぇ」



ロミオ「どうやら・・・お前の恐れの具現化は5人か」


跡部が見ているものそれは、コートを挟んだ向こう側二現れる、
5人のシルエット・・・


(何だ・・・これは!?)



その中の一人が姿表す・・


「・・・来い ひねり潰してやるわ」



(テメェは・・・皇帝 真田弦一郎!?)


跡部の眼前に現れる
宿敵の一人であり
この大会で共に戦ってきた戦友の影・・・








ロミフェルの起こす「具現化」のによる本領は、ここからなのか。。。


次号へ続く!!