「未生無」






上空で一瞬、打球が停まる。


相手の死角へ落ちる


(序盤から全力で持ち技を全て使って戦わなけりゃ
手を抜いて戦ってるとか言う輩が多すぎて笑えるよな
切り札は一番効果的な所で使わなきゃ意味は無ぇ)
最後まで出す機会を作れなかったら
相手が一枚上手だっただけだ)




「そんでお前も俺と同様爪を隠すタイプって訳だ!」

「ビスっちと同じタイプで光栄やわ☆」


互いにサーブを打てない相方のミニサービスにポイントだけが重ねられていく。


今だ悔しさを隠し切れないジークフリート。
気を失ったままの切原。

4-4!!

(勝負ドコやな・・・
次のポイントは
勝利を確実にする為の
最後のミニブレークチャンスや)


大会後、プロ転向を控えるビスマルク、ここまで来ても余裕の姿。


落とせないビスマルクのサーブ!

リターンから攻めに転じ、
コースにヤマを張りサーブを打つ瞬間に動き出す種ケ島!

しかし!!

5-4 ドイツ!

(エゲつないわ  ドライブ回転かい!?)


当てさえすればラリーが続く、
ビスマルクは分かり切ったうえでこのタイミングで所見のサーブを放つ。

しゃああぁ ミハエルが上だ!!

拳を握り。叫ぶジークフリート・・・


(腕が・・・・・・動いた!?)

遠野「野郎・・・少しづつ全面硬直の効果が切れ始めてやがる」


君島「切原くんでは不完全だったようですね
試合に復帰するのも最早時間の問題ですよ」


種ヶ島のサーブは・・・フォルト・・・・


Q.P「さあいつも展開だね・・・
サーブを決めるだけのタネガシマの方が
重圧を感じ始めたよ」

「チっチッチッ・・・ダボで終わるなよ」

セカンドサーブも威力を落とすことなく打ち抜く種ヶ島!


「ダブルファースト!?
この後が無い状況で強気な選択を・・・?!」


(いやアイツ俺を出し抜く為
ファーストサーブをわざとフォルトしやがっ・・・)


一気にネットに詰める!!

已滅無で決めに行く!!   
「戴き☆」


しかし、ビスマルクは冷静。
ダイビングボレーで「已滅無」が返された・・・



高く舞ったボールは種ケ島の伸ばしたラケットは、届かない。。


6-4 ドイツ!!

ミニブレークを返されたことにより、
種ケ島が作り出したミニブレークでセットを奪うチャンスが消えた。


切原のリターンボール・・・



種ケ島「くそう・・・」



中学生たちが言葉を失う。


ここで終わるのか?




同時に平等院も思い返す・・・


★・・・・・・・☆・・・・・・・★

2年前 フランス大会で俺は会場に行く途中
デュークの妹を崩落事故から救った事で痛手を負ったまま

「ま・・・まだ・・・だ」


三船「もう止めにせぇ平等院!」

当時の日本代表が言った

「あのバカ一人のせいで日本が敗退・・・ったく役病神だぜ」

種ケ島「平等院勝てへんかてええ・・・絶対負けんなや!!」


(当時名前も知らないお前が言った言葉の意味が
今なら痛いほど分かるぜ)

☆・・・・・・・★・・・・・・・☆



自分が負けたことで、前回大会での全責任は自分がとると宣言した・・

約束は、守れなかった、


けれど・・・


平等院「この2年間
本当に・・・
お前らと一緒に戦えて良かった」


無常にドイツとの戦いに終止符が打たれる・・・


そんな、ドイツ勝利を決めるボールに・・・



「赤也ぁ!?」


ビスマルクのサーブに切原が飛び掛かる!!


しかしすぐコートに倒れてしまう・・


ビスマルク「アイツ 無意識で飛び出したのか!?」


(おおきにな赤福!!
お前のお陰で首の皮一枚繋がったわ
今までやって来た負けへんテニスじゃアイツは倒せへん・・・)



今なら



「さぁ来いよタネガシマ!!決着をつけようぜ!!」


しかしコートには倒れたままの切原しかない映らない


「不会無」


大曲「修二が2年前から極秘特訓してた
とんでもねー『無』の技って・・・自らの存在を『無』にすんのかよ」


当初の種ケ島の作戦通り、タイブレークを制した!


ゲーム2セット 7-6 日本!!


ビスマルク「スマンなジーク・・・ファイナル行けそうか?」

ジーク「サンキューミハエル これで・・・
奴に借りを返せんじゃん!!」




意識を取り戻す切原、
体が再び動くようになったジークフリート!

3セット目より復帰するそれぞれの中学生たち!

日本の運命を決めるファイナルセット、開戦!!


次号へ続く!!