手塚
(俺の未来を奪う・・・?
どう言う事だ幸村・・・)
あと1ゲームと追い詰めたはずに幸村に、動揺を隠せない手塚。
そして再び、股下を抜かれる未来が写る・・・
ゲームを進めながら、手塚のプレイと、攻略法を見極める行程を続けていた。
これまでのプレイとパターンにない逆のプレイを繰り出すも、
返球は幸村の掌の上・・・。
幸村「言ったはずだろ・・・キミの未来を奪う・・・と」
手塚が見た未来の通り、手塚の股下をきれいに抜く。
ゲーム日本 1-5!
声を上げ、感情を表し喜ぶ幸村
「あはっ!1ゲーム返したっ!
さあこっからだろい幸村くん!!まだまだ日本は諦めねぇー!!」
跡部(奴は2セット目と3セット目を使って
手塚に気づかれぬよう虎視眈々と水面下で攻略法を培っていやがった)
手塚のゲーム・・・零式サーブ・・・・
しかし難なく返球する・・・
君島が幸村の完全完治を告げる。
言葉を失う真田、柳。涙を流す丸井。
再び、股を抜かれた同じ展開になり、
しかし、更に別の一手を打つ。
しかしどれだけ返球やラリーの内容を変えて重ねても、手塚の股下を再び射貫く!
ゲーム日本 2-5!
不二「まさに対戦相手の未来を奪うテニス」
大石「同じ結果だ・・・手塚は未来を上書き出来ない」
「あれが・・・
”神の子”幸村精市」
☆・・・・・・・・★・・・・・・・・☆
神の子と異名がついた少年の話・・・
幸村10歳・・・
DNK神奈川Jr.大会14歳以下の部
ゲーム明智4-0!!
「小学生が調子乗ってんじゃねーぞバロー!!
聞いてんのかバロー・・・」
ただ応答するでもなく、笑みを浮かべる幸村
「ちっ 気味悪い奴だぜ」
(怖くて一言も発せなかったボクを何故か相手は勘違いし始め
ミスをするようになった--
それからどんなピンチでも最後の一球まで諦めず
ボクは微笑むようにした
そう・・・ピンチの時こそ
どんな打球や展開でも淡々と返し続ける事で
相手選手はどこに打っても返されるイメージが脳裏に浮かび
身体が萎縮し打つ事が怖くなり次々にミスを犯し自滅していく
いわゆる・・・イップスだ
逆にボクはどんな展開でも動じる事なく
冷静に分析し自分のテニスを続けた
誰かが呟いた
「か 神の子・・・」
★・・・・・・・・☆・・・・・・・・★
ゲーム日本3-5!!
「まさに神の子・・・
奇跡の追い上げ まさかこの試合・・・」
幸村は薄く微笑んだ・・・
しかし、当然、手塚国光が心折れることはなく。
諦めることもなく。
(手塚国光――いつまでキミは新たな攻略を重ね続けるんだ
こんな心の底から突き上げてくる昂揚感は初めてだ!!
(でも『これがテニスを楽しむ』と言うまほろばならば
やはり勝つことでしか証明できない)
ゲーム日本4-5!!
丸井(ゆ 幸村がこんなに感情を露わに・・・)
柳「まさか精市は今・・・」
真田「・・・ああ」
いままで見たことがない幸村の姿。
だが、これが、今、立海テニスの部のために無敗の掟を掲げ、
常に厳しい姿を見せ続け、勝利のみを求めていた幸村が、
越前リョーマの敗北し、
代表合宿で学んだこと、
強さを増した事、
病気を乗り越え完治したこと、
そこから積み重ねた
全てが重なってこの場手塚国光という相手を前に、
テニスを心から楽しんでいるのならば・・・
そして幸村を気にかけ続けた元立海の毛利も喜んでいる。
ベンチに腰掛け、手元からも汗が滴る手塚・・
「いいファイトだクニミツ!!
焦るなスコアではまだリードしている!!」
ジークフリートが声を荒げる
「プロになる為にドイツに来たんだろーが・・・
同じ日本人なんかに絶対ま負けんじゃねーぞ!!」
(クニミツは日本ではチームや仲間の為に成すべき事を
優先させていた様だ
プロを目指しドイツに来たキミは
自分のテニスをしっかりと見つめ直し向き合い
ボルグなど現役プロ選手と練習をこなし急激にプロとしての自信もついてきた
自分の為に―――――キミは最初にそう言ってドイツに来た
しかし本当は違うよねクニミツ・・・)
「頼むぞクニミツ 試合を決めてくれ!!
王者ドイツの力の差を見せつけてやれっ!!」
ドイツサポータの声援とドイツコールがに届く。
レンドール(キミはもうきづいているようだ
プロになればもっと多くのものを背負う事に)
「国の為 スポンサーの為・・・
多くのファンの期待に応える為にそれがプロ選手」
ボルグ「監督・・・アイツは分かっていますよ
自分が成すべき事を・・・」
手塚
(俺は勝ち続ける事で・・・
皆の声援に応えたい)
やはり、手塚国光の思いや、日本で学んできた根本は変わらない。
「監督・・・未来を塗り替えて来ます」
(クニミツ・テヅカ・・・
キミのような素晴らしい選手をドイツ代表に迎えられて
本当に誇りに思う)
そしてきみも――――)
コートチェンジを終えてコートに再び対峙する二人
幸村「そろそろ追いつかせて貰うよ」
手塚「そうはさせない」
幸村&手塚 「来い!!」
次号、クライマックス!!!